No.133 ビッグデータ時代の到来

先週東京で開催された「ビッグデータカンファレンス」に参加しました。場所は日経ホールで、ほぼ満席になるくらいの参加状況でした。
今回のイベントで感じたのは、ビッグデータへの期待の大きさであり、ビッグデータが既にビジネスになっていること、そしてビッグデータ時代が到来するのではという予感です。
今回は、このイベントの内容を書きたいと思います。


ちょうど20年前にも日経ホールに行ったことがあります。そのときは、インターネット関係のイベントへの参加でした。そのときも、ホールが満席になるくらい多くの参加者がいたことを思い出しました。あれから、20年、インターネットは日常生活に不可欠なものになり、ビジネス環境を大きく変化させました。
ビッグデータも20年後にはインターネットと同じようになっているのでは、とイベント全体を通じて感じました。


ビッグデータとは、「コンピュータやネットワーク上に蓄積されたあらゆるデータを分析し活用することで、ビジネスを革新させたり新たなビジネスを創造する」という概念です。
データの活用であれば、これまでも多くの企業で行なわれていると思いますが、その多くは社内にある過去のデータ、それも伝票データを分析するものでした。
しかし、ビッグデータは、社外のデータや機械に取り付けたセンサーなどのデータも含めて分析することで、人間の意思決定などに役立てようというものです。


具体的な事例をいくつか書いてみます。
HONDAが販売するカーナビを使ったサービスに「インターナビ」というのがあります。単なるナビゲーションシステムだけでなく、車に取り付けたセンサーのデータや外部の気象情報などを使って、様々なサービスを提供しています。
まず、自分の車の走行状況を知らせてくれます。これだけだと従来のデータ分析と何ら変わりません。が、個々の車のデータをHONDAのデータセンターに集めることで、渋滞が起きている箇所が判るので、その情報を各車のナビに連絡することができます。
更に、気象情報を加えることで、ゲリラ豪雨などの情報をその方面に向かっている車に伝えることも可能になります。
このように、個々のデータだけでは判らないことでも、データを集めることで判る(新たな情報が生まれる)ことがあります。こうした情報をリアルタイムに配信することで、利用者の意思決定を支援したり行動を促すことに役立てよう、という事例です。


建機メーカーのコマツは、全世界で動いている自社の建機に各種のセンサーを取り付けており、建機の利用者や地元の販売代理店にデータを配信することで、ムダの無い効果的なメンテナンスを実現しており、メンテナンス費用の削減という成果をお客様に提供しています。
更に、建機の動きをリアルタイムに把握できるので、鉱山での採掘プロジェクトの現場管理を請け負うというサービスも提供しています。自動運転する建機をコンピュータが遠隔でコントロールしながら最適な運行管理を実現しています。また、危険な作業に人間が携わらなくてもいいので、安全な作業環境の実現にも役だっています。
コマツの事例は、ビッグデータで新たなビジネスを創造している事例です。


米国の禁煙キャンペーン広告の事例です。未成年者の喫煙が社会問題になっていたので、NPO団体が禁煙を促すキャンペーン広告を実施しました。このときに、喫煙している未成年者の行動心理をデータを使って徹底的に分析し、だからこういう内容の広告をすると効果が高くなるのではないか、と判断しました。その結果、喫煙率の低下という大きな効果を直ぐに出すことができたそうです。大手たばこメーカーが何年にも渡り多大な広告費を使っても実現できなかったことを安価に実現できたのです。
データを徹底的に分析することにより効果を確信することができ、小コストで大きな成果を生み出した「小が大に勝てる」事例です。


ビッグデータ時代は、こうしたことを実現するためのサービスがどんどん生まれてきます。そして、データが付加価値を生み出す時代になります。これを「データ駆動型経済」といい、「データが流通する経済」が出現するのです。
データを活用したサービスを実現するには、「データ収集」「データ処理(分析)」「データ活用」という工程が必要になります。大企業であれば1社で全ての工程を行なうことも可能でしょうが、中小企業であればそれぞれの役割を担うことで、新たなビジネスチャンスに参加することも可能になるのではと思います。


データサービスを提供する側になるか、利用する側になるか、それぞれの立場はあるにせよ、データを利活用して付加価値を生み出すことを考えないと、モノの価値だけでは生き残っていけない時代になるように感じています。
カンファレンスでは、「ビッグデータ元年」という言葉がありました。ビッグデータ時代の幕開けを象徴する言葉だと思います。こうした流れをキャッチしながら、自社のビジネスに活用することを考えましょう。

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