No.134 事務効率だけでないIT活用

ITを導入しようと考える場合、事務の効率化であったり、現場作業の効率化のために、導入を検討されることが多いと思います。これは、業務上どうしてもやらなければならない作業の中で人間がやると効率の悪い業務を機械化することによって、生産性を向上させることが目的のIT活用法です。
しかし、ITの活用法は、他にもあります。ホームページを利用したビジネスなども、その一つです。
今回は、事務効率だけではないIT活用法についてまとめてみます。


1.顧客接点におけるIT活用
新たな顧客を開拓するには様々な方法がありますが、基本は告知を行うことです。自社の商品やサービスを多くの方に知ってもらうことです。また、告知だけでなくお客様と接する(リーチする)ことも必要です。
こうした顧客との接点を増やすために、ITを活用する方法があります。ホームページやSNSの利用は、代表的な活用法です。自社の商品やサービスの良いところを文章や写真だけでは十分に伝えられないため、動画を使って伝えることも最近では多くなっています。
また、お客様との関係を維持するためにメルマガやSNSを利用したり、購買後のアフターフォローに、テレビ電話会議システムを利用する事例もあります。


2.顧客価値を作り出すIT活用
お客様が自社から商品やサービスを買っていただける要因には、他社に比べて秀でた部分があるからです。①価格、②品質、③品揃えの豊富さ、④対応の速さ、⑤利便性、などです。これらの中で、お客様が求める価値と一致すると購買につながります。自社が対象とする主たるお客様が求める価値を磨くことが、売上向上になるのです。
こうした価値を磨くために、ITを活用する方法があります。例えば、「デジタル屋台」と呼ばれる生産現場用のITがあります。作業者はディスプレイに表示される図面や無線イヤホンを通じて流れる音声指示に従って、ネジなどの部品を棚から取り出したりネジを締めたりするだけで、ベテラン技術者と同じように製品を組み立てることが可能になります。価格(生産性の向上)と品質(均質な品質確保)という価値を高めることができます。
また、監視カメラを利用した現場改善用のITがあります。カメラで生産現場の状況を録画することで人や物の無駄な動きがないかを振り返ることができるため、現場改善の道具として活用できます。また、生産状況をトレースすることができるため品質改善や納期管理にも役立てることもできます。


3.計数管理のためのIT活用
会計的な数字だけでなく、現場で起きている状況を素早く知ることは管理や判断をするうえで重要なことです。いわゆる「早く知り、早く手を打つ」ということです。特に数字データは客観的に物事を映し出しますので、計数による管理は大事です。
こうした計数管理を手作業でやっていては、知りたいときに知りたいデータが無い、ということになってしまいます。計巣管理を行う上でのネックはデータの収集です。この収集を簡単にするために、ITを活用する方法があります。例えば、携帯型のバーコードリーダーを利用して工程毎に開始や終了をその場で入力することにより、作業の進捗状況や時間管理などの計数データを簡単に収集できます。また、機械に各種センサーを取り付けることで、機械の稼働に関するデータを収集することも可能になります。
また、ITに蓄積された過去データを分析することで、様々なことが見えるようになります。こうして分析したデータをもとに、新たな商品開発や販路の開拓、生産性の向上へ活用することができます。


4.組織力を高めるためのIT活用
組織を大きくできない原因の一つに、業務が標準化されていないことがあります。各自が思い思いに業務を行っているために、業務の質均一にならない、業務効率が人によってバラバラ、という問題が起きるからです。マニュアル等を整備して標準化を図ることが必要です。
業務を標準化するために、ITを活用する方法があります。上記の「デジタル屋台」もそうですが、ITで業務のやり方を決めてしまい、属人性が入るこむ余地を残さないようにする方法です。この業務はこのITを使ってこうやる、入力漏れや作業ミスがあったらITが警告を出す、というようにして、誰がやっても同じ結果を出せるようなります。
また、人材育成にITを活用する方法があります。ベテラン社員の作業と新入社員の作業をビデオで撮影し2つの動画を並べて再生することで、ベテランと新人の違いがはっきりと分かり、劣っているところに関して教育訓練を行うことができます。


納品書作成や請求書作成、売上や粗利の集計、といった事務作業の効率化のためだけにITを活用するのではなく、自社を成長させるためにITを活用する方法がたくさんあることが理解できたのではと思います。
6/11(水)に、上記の内容をもっと詳しくお話しするセミナーを開催します。まだお席に余裕がありますので、是非、ご出席ください。

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