No.137 情報リテラシーの低下に危機感

最近お客様と話をする中で、情報リテラシーが話題になることが数回ありました。情報リテラシーという言葉こそ使っていませんが、話の概要は、『ITは進化したが、情報を扱う人間が進化していない。このままでは心配だ』というものです。
リテラシーとは「使いこなす能力」という意味で、情報リテラシーとは、「情報を使いこなす能力」のことを言います。似たような言葉に、ITリテラシー(コンピュータリテラシー)やメディアリテラシーという言葉があります。


上記のお客様との話を整理すると、若い社員はベテラン社員に比べてITリテラシーやメディアリテラシーが優れているが、情報リテラシーは劣っている。そのために、ITに頼ってしまい、ITを使うことが仕事になっているのではないか。一方、ベテラン社員は、情報リテラシーは優れているのにITリテラシーが劣っているため、その能力が十分に発揮できていないのではないか、というものです


情報リテラシー(Wikipediaより)
情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のことである。「情報活用能力」や「情報活用力」、「情報を使いこなす力」とも表現する。したがって情報リテラシーとは、情報を主体的に選択、収集、活用、編集、発信する能力のことである。


メディアリテラシー(Wikipediaより)
情報メディアを主体的に読み解いて必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活用する能力のこと。「情報を評価・識別する能力」とも言える。
メディアリテラシーで取り扱われるメディアには、公的機関やマスメディア(新聞、テレビ、ラジオ等)を始め、映画、音楽、書籍や雑誌等の出版物、インターネット、広告等、様々なものがあり、口コミ(口頭やブログ等)や各種の芸術等も含まれることがある。


コンピュータリテラシー(ITリテラシー)(Wikipediaより)
コンピュータを操作して、目的とする作業を行い、必要な情報を得ることができる知識と能力のこと。


リテラシーとは、元々は「書き言葉を、作法にかなったやりかたで、読んだり書いたりできる能力」を指していた用語です。日本でいうと、「読み書きそろばん」と言ったところです。こうした能力は、教育や訓練を受けて身に付き、経験を積むことで高度化していくものです。


情報リテラシーは、情報という言葉こそついていますが、ITが普及する以前から、ビジネスマンにとっては必要不可欠な能力です。社内外に存在する情報をいち早く集め、それらを活用して新たなビジネスを考えたり、お客様にとって有用な情報に変換して提供したり、社内の状況をいち早く知り課題を改善・改革したり、ということを行える人材が優秀な人材です。つまり、情報リテラシーが優れた人材を、企業は求めています。


一方、コンピュータリテラシーは、IT機器を使いこなす能力ですので、情報リテラシーが優れた人材がITリテラシーを身に付けると「鬼に金棒」となるわけです。ところが、子供のころから学校でIT機器を使ってきた若い社員は、ITリテラシーは優れていますので、上手に資料をまとめたり作成したりします。そのため、情報リテラシーも高いのだろうと勘違いしてしまうのです。最近では、インターネット上に様々な情報が氾濫しているため、ITリテラシーだけでなくメディアリテラシーにもある程度優れていると、あたかも情報リテラシーが高いように見えてしまいます。
しかし、実態は全然違っており、情報に対する感度や読み取る深さなど、ベテランの社員には叶わない部分が多いのです。


にも拘わらず、この情報リテラシーを継承していく仕組みがないために、途絶えてしまうという危機感を一部の経営者が抱いています。
IT機器が社内に普及する以前は、手書きで情報を整理・編集しており、そのやり方を先輩から後輩が見習うことで継承していたように思います。ところが、IT機器が社内に普及し始めると、ITリテラシーが優れた社員を中心にITを使った情報の整理・編集方法を作り出し、その際に手書きの面倒さだけを効率化し、本来の考える部分を継承しなくなったのではと推察しています。また、情報リテラシーに優れた社員が、そうしたことに異論を唱えればいいのですが、IT機器を使いこなせないことを引け目に感じ、おかしいと言わなくなったことも原因ではないかと考えています。
更に、若い世代を中心に、面倒な人付き合いはしないという傾向があり、付き合うのは友達だけになっていることで視野が狭い人間が増えているのも、情報リテラシーが高まらない原因だと思います。


情報リテラシーを高めるためには、広い視野を持ち、様々なことに関心を示し、知識や経験をもとに深く考えることが必要です。こうした社員に、優れた道具であるITを持たせると、もっと素晴らしい社員になります。
情報リテラシの高い社員を育てる仕組み作りは、今後大きな課題になるかもしれません。

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