No142 IoT モノがネットにつながる

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、新聞や雑誌で最近よく取り上げられていますので、目にされた方も多いのではないでしょうか? 2015.1.5号の日経ビジネスでは、「第4次産業革命」と題して、このIoTを取り上げています。
人間だけでなくモノがインターネットにつながることで、様々なサービスが新たに生まれ売上の拡大を図ったり、生産のムダを省くことで生産性の向上を図ったり、ということが可能になります。


これまでのネット利用は、人と人がつながる(コミュニケーション)ことが主でした。IoTにより人とモノがつながることで、遠隔にあるモノの状態を簡単に知ることができるようになり、遠隔にあるモノをコントロールすることが可能になります。例えば、社外から自社工場の稼働状況をリアルタイムに確認したり、外出先で自宅のエアコンを操作するようなことができます。
更に、人工知能技術を活用すると、モノが自律的に行動することもできるようになります。例えば、行き先をカーナビに登録するとGPSを使って自動的にルートを決定し、そのルートに沿って車の自動運転が可能になります。前の車との車間もセンサーで測れるので車間が短くなると自動的にブレーキをかけることもできます。


実は、こうした技術は既に実現しており、今後普及期に入っていくと思われます。Iotは既に起きているのです。
以下、Iotにより顧客満足を高めている事例です。


コマツの事例
建機メーカーのコマツでは、コムトラックスというサービスをIoTシステムで提供しています。全世界で動いているコマツの建機に各種センサーが付いており、センサーのデータを衛星通信で収集して加工することで、部品交換などのメンテナンス情報や稼働率などの管理情報を顧客に提供しています。
これにより。保守部品を迅速に提供できるようになるとともに、顧客の管理業務を低減させています。


ベイシアの事例
総合スーパーのベイシアでは、レジに顧客が並ぶのを防ぐためにIoTシステムを利用しています。店内に設置した50数個のセンサーで店内の客数とレジで待つ顧客の組数を把握し、過去のデータをもとにレジに並ぶ顧客数を予測し、レジを開閉したり顧客を誘導したりして顧客の不満を減らしています。


ネットショップでは、顧客がショップ内をどのように行動しているかをアクセス記録で解析することができます。また、「カゴ落ち」と言われる、一度ショッピングカートに入れながら購買しなかったデータを収集し解析することもできます。デジタルの世界なので、こうしたことが簡単にできるのです。
これをアナログの世界で可能にするのがIoTです。買い物カゴにセンサーを付け、店の中をどのように動いたのか、どの棚のところで長くいたか、などが判るようになります。また、レジでの購買商品データと突き合わせることで、棚の前に長くいたのに購買しなかった商品などを特定することも可能になります。これにより、売れた商品の解析だけでなく、売れなかった商品の解析ができます。


多品種少量生産が主流になっていますが、顧客の嗜好はますます個性化する傾向にあり、生産現場では「マスカスタマイゼーション」が求められています。「マスカスタマイゼーション」とは、顧客の個別要望に応える特注品を、大量生産と同じコストで生産しようとするものです。
こうした生産を実現するためには、生産ラインのモノの流れに合わせてカスタム情報をリアルに現場に伝える必要があります。また、顧客の要望が変わったときにも即座に対応する必要もあります。こうしたことを実現するのがIoTです。これにより、特注品だから高いということがなくなり、顧客は自分が求める商品を普通の価格で購入できるようになります。


これまでは不可能と思われていたことが可能になるのが、IoTの時代です。「当たり前のこと」が「当たり前でなくなる」時代になります。パラダイムシフト(考え方や価値観の転換)をしなければならない時代になったのです。


中小企業だから関係ないではなく、中小企業だからこそ俊敏性を活かして時代を先取りし、大きなチャンスにすることができます。
時代が大きく変わろうとしています。IT革命の第2弾が始まっています。時代の流れに乗り遅れないようにしましょう。

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