政府がキャシュレス社会の構築に向けて動き始めています。2014年6月に政府が発表した成長戦略「日本再興戦略(改訂2014)」の中で、『資金決済の高度化』と題してキャッシュレス決済に関して次のように書いています。
(ここから)
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等の開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性の向上を図る。
(1)海外発行クレジットカード等での現金の引き出しが可能なATMの普及
メガバンク3行に続き、主要コンビニエンスストアATMについても、海外発行クレジットカード等に対応予定。
(2)地方商店街や観光地等でのクレジットカード等決済端末の導入促進
商店街振興の補助金等を活用し、地方商店街や観光地等において決済端末を導入することにより、クレジットカードの使用環境を整備。これまで、全国22の地方商店街において、決済端末の導入を決定。
(3)公的納付金の電子納付の一層の普及
平成29年1月に運用開始予定のマイポータルに公金決済ポータル機能を設け、ネットバンキングやクレジットカード決済のサイトに移動し、年金保険料や国税の電子的な納付が可能となるような所要の措置の検討。
(ここまで)
2013年に1000万人を超えた外国人観光客ですが、2014年には円安効果もあって1340万人となりました。こうした外国人観光客に対する利便性を高めることが大きな目的ですが、これを機に本格的なキャッシュレス社会を構築しようという政府の方針が感じられます。
(マイナンバー制度と合わせることで、お金の流れを完全に把握できるようにするという意図も感じますが・・・)
多くの消費者の収入は給与であり、ほとんどが銀行振込になっています。消費者は銀行から現金を引き出し、お店で買い物をします。お店は、得た現金を保管し、銀行に預けます。また、現金決済をするためにお釣り用の現金が必要になり、それを準備するために銀行から引き出します。
このように、現金を管理する手間、銀行へ行く手間、などが発生します。そして、正しい経理を行うために、現金の動きを現金出納帳に記録しなければならず、ここでも手間が発生します。
決済をするためだけに使われている現金のために、多くの手間がかかっていますが、キャッシュレス社会になれば、現金を管理するための企業コストを大きく減らすことができます。
一方、最近の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードのデータを直接読み込めるものもあり、キャッシュレスであれば経理の手間を大きく減らすことが可能になります。
ネット通販ではクレジット決済が当たり前になっており、キャッシュレス消費が既に進んでいます。また、都市部では電車やバスの乗車ICカードが広く使われていることもあり、電子マネーの利用が進んでいます。私も東京へ行ったときなどに電子マネーを使いますが、すごく便利です。一方、セブン&アイやイオンなど大手小売店では、独自の電子マネーを発行してキャッシュレス決済を進めています。
キャッシュレス決済は消費者にとっても便利であり、こうした利便性を知ると、消費者は後戻りしなくなります。地方都市にも、今後どんどん普及していくと思われます。
近い将来本格的なキャッシュレス社会になることが予見できます。キャッシュレスへの対応を怠ると、お客様から敬遠される時代が目の前に迫っているということを認識しなければなりません。消費者がどんどんキャッシュレスになっていくと、現金決済しかしないお店では買い物をしなくなります。
クレジット決済は手数料が高いから現金がいい、という声をよく耳にします。しかし、上記したように現金を扱うことによる目に見えないコストを認識すれば、手数料は決して高くないと思います。また、キャッシュレスへの対応に係る経費は必要経費と捉え、それでも利益が出る収益構造を作っていかなければならない時代になってきているということです。
キャッシュレスとは「現金の電子化」です。キャッシュレス社会への対応とは、IT化を進めることと同義だと考える必要があります。ITの進化による時代の変化は速いので、十分に注視する必要があります。思っている以上に早く、そうした時代になる可能性があるということです。
時代の流れを掴み、その時代に即した対応を取らなければ生き残ることができません。
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